Tricker’sとGMTの物語

「Tricker’sと言えば….」

真っ先に頭に浮かぶのは間違いなくカントリーシューズ(ブーツ)ではないでしょうか。
そう言えるほど、このシリーズはブランドにとっての代名詞になっています。

それはトリッカーズが歩んできた道のりが間違いではなく、オリジナルとして多くの人々の脳裏に刻まれていることを意味しています。
ウィングチップのデザインでボリューミーなシューズを出せば、「トリッカーズっぽいね」という言葉で表されるくらい、他のメーカーにとっても教科書的存在になっているのだと思います。

革は他のメーカーに比べ分厚いぶん硬く、ソールの返りも悪い。
履きならすまで一朝一夕には行かず、我儘なシューズです。
新品の状態での完成度は100%ではなく、10年位履きこんでやっと7割くらいの完成度になる、そんな不思議なシューズです。
それも履き込むほどに魅力が増していく理由の一つではないでしょうか。
まさに「完成された不完全な靴」という表現がぴったりだと思います。

代表的なモデルM2508は日本発祥のモデルとも言われています。(所説あり)
UKのフィッティングは当時日本のEウィズ相当のものでしたが、あまりにも幅広だったので、日本向けにウィズも含めて木型を変更したのです。
それに伴い、品番も分かりやすくするためにM2508という品番が日本用に振り当てられました。
(木型自体は他のコレクションで使われていたもので、日本向けに作ったわけではありません。その木型も数十年以上前から使用されています。)

この絶妙な変更は履き味と見た目の改良に大きく繋がりました。
歴史あるブランドであるにも関わらずユーザーの目線を柔軟に取り入れることで、より履きやすくなり、マニアな一部ファンだけの物から新しいユーザーの獲得に繋がるようになっていきました。

様々なブランドやショップとのコラボレーションを実現しているにも関わらず、どれもトリッカーズらしさが失われておらず、さらにブランド(ショップ)の個性も損なわれていない。
そんなとても素晴らしいコレクションが数多く生み出されています。

近年で一番センセーショナルなトピックスといえば、今では普通のビブラムのホワイトソールをいち早くコレクションに採用したという事です。
トリッカーズから空前の白底ブームが発生して、ヨーロッパのメーカーをはじめいろいろなシューズブランドのコレクションがビブラムのホワイトソールを使用しました。
実はこれは日本からのリクエストであり、それを柔軟に対応してくれたメーカーとのパートナーシップがあったからこそ成しえたコレクションだったのです。

僕がこのブランドと出会い、約25年が経ちました。
かつて原宿にあった『realscope 原宿店』のウィンドウで見たのが初めてでしたが、その場ではとても高く買えませんでした。
当時はブーツと言えばメイドインUSAという考えしかなく、情報も雑誌かショップスタッフとの会話だけという閉塞感がある中で、「知る人ぞ知る」というシチュエーションもトリッカーズが光る要因になったのだと思います。

後にGMTに入社して社販で買ったメダリオンブーツは、今でも現役です。
「高いなぁ」と思いドキドキしながら買った1足も、今では胸を張って良い買い物をしたと思えます。
履きにくかった記憶よりも買った時の喜びが勝ってたので、履きならしに苦労した記憶は皆無です。

先述のホワイトソールコレクションや、メーカーにリクエストしたカントリーラインで別注したダブルモンクシューズなど、僕の私物コレクションは増える一方です。

25年経った今も、常に僕をフレッシュな気分にしてくれる。
トリッカーズはそんなブランドです。

新たなコレクションを次世代の伝統にするための手伝いを、これからもやっていきたいと思っています。



株式会社ジー・エム・ティー 取締役部長 奥秋勝也



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