ルーツは日本 ハワイの風をまとうアイランドスリッパの歴史とは
ご存じの方も多いと思いますが、アイランドスリッパは「メイド・イン・ハワイ」のリゾートサンダルブランド。職人の手が生み出すアイテムの数々は、厳選された良質なレザーを使用したカジュアルながらもラグジュアリーな存在感が魅力です。そんなアイランドスリッパがどのように誕生して世界中から愛されるブランドになったのか、その歴史を紐解きます。

ルーツは一人の日本人移民
アイランドスリッパのルーツ、それは日本にあります。日本からハワイへ渡った移民である『本永 瀧蔵 (モトナガ タキゾウ)』という人物が、1946年、彼の妻と共にオアフ島で創業したブランドこそがアイランドスリッパの始まりなのです。当時のハワイは現在のような観光地ではなく、サトウキビ畑やパイナップル畑が広がる土地。そこで本永氏は、日本で慣れ親しんだ草履や雪駄をベースとしてサンダルを作り始めました。創業当初は第二次世界大戦の影響が色濃く残っており、物資不足のために古いタイヤをソールの材料として利用していたそうです。

日本人ならではの丁寧なモノづくり精神が息づいたアイランドスリッパのサンダルは、やがてハワイのローカル達から支持されるようになり、地元で評判に。その頃は他にも多くのサンダルブランドがハワイに存在したそうですが、残ったのはアイランドスリッパのみ。今ではハワイで最古のブランドになっています。

高いクオリティを維持しながらもさらに改良を重ねていく中で、アイランドスリッパは高級品へと進化を遂げ、ついにはアメリカ本土へ進出します。瀧蔵氏の没後には彼の子供たちが会社を継承。1970年代には折からのサーファーブームに乗じて、若者たちの間で絶大な人気を博すようになっていきました。

1985年に創業一族の本永家は、ジョン・カーペンター氏に会社を売却しました。地元ハワイの靴業界に長年にわたり従事して製造に精通した彼ならば、と見込まれてのことだったといいます。ジョン氏は社長就任後、優れた快適性と耐久性を兼ね備えた新しいサンダルを発表し、高品質サンダルの業界基準を確立。アメリカ本土での市場を拡大しながらカリブ海や中米など国外にも進出し、日本ではファッションアイテムとなるなど、大人気ブランドへ成長させました。

現在もハワイを拠点として直営店舗も展開しているアイランドスリッパは、2026年に創業80周年を迎えます。現地の工場では30年、40年と長く勤める熟練の職人たちも多く、英品の数々はまさにファミリーのような空気感の中で作り上げられています。そこで宿った温もりや想いというファッションアイテムに留まらない魅力こそが、アイランドスリッパが多くの人々を魅了して止まない理由なのです。
