ジャランスリウァヤでは、ヨーロッパの良質な革を使って靴を作っていますが、そうした革も、元々は食肉の副産物としての皮を鞣(なめ)して作られたもの。そのため、材料となる革の大きさはそれぞれ異なっており、もちろん傷やシワ、血管の跡なども残っています。

革を靴のパーツごとに切り出す際にはそうした部分をできるだけ避けながらも、同時に裁断の効率を考えたうえで抜き型が配置されます。しかし、デザインによってはさらに制限が出る場合も。そんな中でどうしても出てしまうのが「残革」です。残革はストックとして倉庫の中で保管されますが、工場では次々と入るオーダー分を生産することに追われ、日々溜まっていきます。

「良質な革をこのまま眠らせておくのは本当にもったいない。」
何とか活かす方法はないかと模索した私たちはこれらの残革を使って靴を作ることができないだろうかと思い至りました。それを工場の職人たちに相談したところ、同じように残革の使い道に悩んでいた彼らはすぐに賛同。残革での靴作りがスタートしました。
まず始めたのは保管されている残革の中から品質を厳選して製品に使用できる部分を分類すること。これが本当に大変な手間と時間を要する作業でした。それでもこの作業を粘り強く行ったからこそ、眠っていた「端材」が再び「素材」となり、製品化に向け動き出すことができたのです。